突然ですが、僕は29歳で大学院に入学してここ2年間ほど社会人学生として大学院に通い、31歳で無事に修士課程を修了することができました。
今から社会人大学院生を目指す方々の参考になればと思い、記録に残しておきます。
目次
進学のきっかけ
最初に大学院に行こうと思ったのは大学に通っていたころです。
とりあえず大学には進学したものの、『学びたいことと少し違うかも?』と思いながら学生生活を送っていました。
サークル活動では自分自身の学びたいことを学び、実践していましたが、やはりその分野を学問として専門的に学んでみたいという気持ちがありました。
しかし、学費の心配もあって大学院進学はあきらめ、就職しました。
初めは出身大学で学んでいた分野の仕事をしていましたが、その後、縁に恵まれ『もし大学院に行っていたら学びたいと思っていた分野』の会社に転職しました。
そこで感じたのは圧倒的な力不足でした。
今思えば、20代前半のペーペーが圧倒的戦力になれるわけもないのですが、当時は専門分野の学びが足りなかったのだと毎日のように痛感し、そこで改めて大学院へ行きたいと思うようになりました。
その後、数年間働くことで技術と知識と経験がつき、1人の技術者としての自覚が芽生えてきました。
入社当時に感じていた、『この分野に対して学びが足りていない』という自分自身に対する意識は薄れていきました。しかし、同時に自分の力だと解決できない多くの問題に直面します。
そこで、大学院へ進学したいと改めて思うようになりました。
大学院を探そう
というわけで大学院を探すことになるのですが、解決したい問題は明確にあるので、それに合った研究室を探さなくてはなりません。
また、社会人入学を検討していたこともあり、もろもろ考えておかなくてはならないことがありました。研究室選びの時に考えた内容はざっとこんな感じですね。
・自分のやりたい研究ができるか(論文を探す)
・学費
・カリキュラム(どの程度通学する必要があるか)
・大学の立地(家から近いか)
・社会人学生制度があるか
・社会人学生だと修了期限を延ばせるか
・学費免除制度などはあるか
この時点で奨学金を繰り上げ返済していたりしていたので、手持ちの貯金はあまり多くはなく、私立大学は諦めて国公立大学を目指すことにしました。
というわけで、あらかた方針が決まったら研究室へ訪問していきます。
が、ここで大きな壁がありました。
僕がやりたい研究を受け入れてくれる研究室がなかったのです。
やりたいことは応用研究でしたが、基礎研究を重視する大学が多く、「君のやりたいことはここではできない」というたくさんのお断りコメントをいただきました。
今はどこの大学院も進学者を求めていると聞いていたので、これは想定外でした。
もちろん、「うちに来てもいいよ」と言ってくれる研究室もありましたが、カリキュラムや内容が少し違うかもしれないなと思ったりもしたため、一度保留させていただき、もう少しだけ研究室探しを継続することにしました。
その後、半ばあきらめかけていたこともありますが約2年間研究室探しを続け、ちょうど10個目の研究室で話を聞いてみると自分のやりたい研究ができそうだと感じ、そこへの進学を目指すことにしました。
進学する前に
行きたい研究室が見つかったからといって、すぐに進学できるわけではありません。
なにせ僕は社会人。仕事を辞めると暮らしてはいけなくなるわけですし、かといって大学院の授業は平日にあるので会社を休み休み通わなくてはならず、会社へも迷惑をかけてしまいます。
ひとりで悩んでもラチがあかないので、とりあえず上司に相談したところ、僕自身に無理がないのであれば、むしろ応援してくれるとのこと。
たいへんありがたい限りでした。
やりたい研究も、仕事の内容だったので、成果は仕事へ還元しようと心に決めます。
とはいえ、仕事への関わり方や雇用形態については事前にしっかりと決めておく必要があります。
このあたりは、大学院のカリキュラムや研究室の状況を踏まえて考える必要があります。
僕の場合はこんな感じでした。
・大学院は全日制で昼間授業
・授業はオンライン(オンデマンド)が多いが対面授業もある
・2日間で単位が取れる集中講義もある
・研究室のゼミは平日夕方
・ゼミ発表は社会人も他の学生と同じ頻度
・週に1度先生と相談する機会がある
会社と話し合う
おおよそ、大学院のイメージができてきたら会社と話し合わなくてはなりません。
特に、社会人学生の場合は、入学時に大学へ『会社からの通学許可書』を提出しなくてはならないこともあるので、雇用条件や通勤形態など双方納得できるよう話し合う必要があります。
僕の場合は仕事の内容を研究テーマにしたいと思っていたので、研究が仕事に役立つことを理解してもらい、正職員のまま大学院入学の許可をもらいました。
入学後の生活は?
入学後は仕事をしながら、他の大学院生と同じカリキュラムをこなす必要があります。
コロナ禍も相まって、講義の多くはオンデマンドで開催されていましたが、中には対面講義や実習などもありました。
大半の講義はオンライン
大半の講義はオンラインでした。
きっかけはコロナ禍ということもありますが、大学で対面講義に戻りつつある今でも、大学院はオンラインのままの講義が多い印象です。
学問を学ぶことを目的としている大学生と違い、大学院生は研究を目的としているので、対面授業に拘る必要も無いし、先生側としてもオンデマンド講義にすることでデータを一度録画しておけば次年度以降も使い回せるといるメリットもあるためだと思います。
なお、オンライン講義にも色々あり、オンデマンド形式の講義もあれば、zoomをつないでライブで話す先生もいます。
課題の形式はレポートが多い印象です。
対面講義や実習は?
とはいえ、もちろん対面講義もあります。
やはり発表や議論などは対面でないと盛り上がりに欠けますし、活発な講義をしたいということでわざわざ対面で講義を開催する先生もいました。
また、僕の場合は自然科学系の専攻だったので、実習で野外調査に行くこともありました。こちらは選択科目でしたが、期間が短く、単位も通常より多くもらえる講義だったので、有休を取って参加しました。
ゼミは普通に参加
ゼミは毎週平日の夕方に実施されていました。
社会人学生とはいえ、ゼミも大学院の単位のひとつ。他の学生と同様に参加します。
オンライン参加でもOKでしたが、僕は大学に行って現地参加しました。
解析のことを他の学生に聞いたり、情報交換をする場として非常に有効だったと思います。
なお、研究室には社会人学生の方もおられましたが、その方々は主にオンライン参加でした。
大学院に進学して困ったことは?
なんやかんや基本は大学院と仕事を上手く両立できていたと思うのですが、困ったことももちろんありました。
例えば、大学院と仕事でどちらも外せないイベントが重複したり、提出物だけのために大学へ行かなくてはならないこともあるなど、仕事を100%優先させられない生活が続きました。
特に、修論の時期は一週間の半分を休まざるを得ないなど、両立が非常に難しく、各方面へ迷惑をかけてしまったと感じています。
なお、僕が通った大学の場合、社会人学生は就学期間を通常の2倍の期間である4年まで延ばすことができますので、無理に2年で修了を目指さなくても良かったのですが、ずるずると間延びしてしまいそうでしたので、2年で修論まで書くことにしました。
まとめ
今回はダラダラと書きましたが、今後、社会人学生の生活について細かく(役立つように)書いていこうと思いますので、何卒宜しくお願い致します。
全然参考にはならないですが、社会人学生修了(卒業式)の動画を載せておきます。