交通網の発達した今の世の中、交通手段さえ選ばなければ日本国内のほとんどの場所へ行くことができます。
しかし、日本にはまだアクセスするのに24時間以上かかる場所があることをご存知でしょうか?
それは・・・
・・・・・・
小笠原諸島です。
小笠原諸島へは『おがさわら丸』という客船で行くしかありません。新幹線や飛行機、高速バス等、様々な交通手段が発達する中、船旅を楽しむのも良いかもしれませんね。
今回は、そんな『小笠原諸島』への行き方について紹介します!
目次
小笠原諸島の諸情報について
『小笠原』は名前は聞くけれども行ったことが無い人も多いのではないでしょうか。ここでは、そんな小笠原の諸情報を紹介していきます。
そもそも小笠原諸島ってどこなの?
そもそも小笠原諸島がどこにあるかご存知ない方も多いかと思いますので・・・
ここです。
念のためGoogleMapのほうも載せておきますが、こんな感じ。
最近、”陸の孤島”とか、そういう表現を多く聞きますが、ここは”リアルに孤島”です。
こんなに本州から離れていますが、都道府県で言うと『東京都』です。
小笠原諸島には約30個もの島が存在しますが、民間人が住んでいるのは『父島』と『母島』の2つだけです(自衛隊等を含めると硫黄島や南鳥島も入ります)。因みに父島と母島は50~60km位離れており、母島は父島の南にあります。
小笠原ってどんなところなの?
小笠原諸島と言えば世界遺産に登録されている地域であることをご存知の方も多いのではないでしょうか。小笠原諸島は屋久島、白神山地に続いて国内で3件目の世界自然遺産として、2011年に世界遺産へ登録されました。
では、小笠原諸島の何が評価されて世界遺産になったのかを説明していきます。小笠原諸島は、島が誕生してからこれまでに一度も大陸とつながったことの無い、『海洋島』と呼ばれる島で、日本、中国、東南アジア、ミクロネシア、ポリネシア等、様々な場所から偶然たどり着いた生物が独自の進化を遂げており、『東洋のガラパゴス』とも言われています。世界中でここだけにしかいない貴重な生物も多く、生物学上とても重要な島なのです。なお、小笠原諸島は生物地理区の区分上において、日本で唯一オセアニア区に属している場所でもあります。
そんな貴重な生物たちも、近年では”外来種”の侵入により絶滅の危機に瀕しているものが多く存在します。
また、世界遺産に評価されているのは”陸地”の部分ですが、マリンレジャーのダイビングが盛んな土地でもあります。大きな川もなく、陸地から離れているため周辺の海は信じられないほど透明度が高く、とてもきれいです。小笠原では周辺の海の色を”ボニンブルー”と表現します。
小笠原諸島への行き方
小笠原諸島へ行く交通手段は『おがさわら丸』という船しかありません。おがさわら丸は、おおむね6日に1便程度出航しています。年末年始、GW、夏休み周辺の繁忙期は便数が増えますが、それでも3日に1便程度。よく、”田舎で数時間に1本しか列車がない”という話を聞きますが、それとは比較にならないほど交通の便は悪いです。
小笠原諸島(父島)へは、おがさわら丸に乗って24時間(丸一日)かかります。と、いうことは、小笠原諸島へ行くためには少なくとも24時間かかるということ。今の世の中、これだけ時間をかければ海外であっても大体の場所は行けますよね・・・これでも2016年の7月に新造船になり、以前と比較して1時間半の時間短縮になったんです。
そんなおがさわら丸の東京の出航時間は午前11時です。
まずはおがさわら丸の予約をしよう!
おがさわら丸に乗船するためには、まずはチケットの予約をしなくてはなりません。チケットは小笠原海運予約ページから予約することができます。その他、電話や直接窓口に行っても予約することができます。なお、席が空いていれば当日も購入できるようですが、繁忙期等はほとんどの席が埋まることもあるため、あまりおすすめはできません。
おがさわら丸の座席は、『特等』『特一等』『一等』『特二等』『二等寝台』『二等和室』の6カテゴリーあり、それぞれ値段が異なります。おすすめは安くてプライベート空間も確保できる二等寝台です。自分の旅に合った席を予約するようにしましょう!
出発は竹芝桟橋へ
出航当日、何はともあれ、まずはおがさわら丸が出航する竹芝桟橋に行かなければなりません。
竹芝桟橋の最寄駅は、東京臨海新交通臨海線(
なお、おがさわら丸の出航時間は午前11時ですが、チケットの引換等がありますので、遅くとも10時15分には到着しておくのが望ましいでしょう。
竹芝桟橋は、帆のようなモニュメントが目印です。
入口はこんな感じです。
内部はこんな感じです。大きな荷物を持っている人がたくさん。この中でチケットの引換を行います。コンビニもありますので、買い忘れたものがあれば、こちらである程度のものは購入することができます。なお、サーフボードや長い釣竿等、長いもの大きなものは預け荷物に預ける必要があります(出港90分前から30分前まで)。
引き換えた乗船券はこんな感じ。僕は二等寝台に乗ります。ちなみにこの乗船券は下船時に回収されるので、くれぐれも捨てないように!
おがさわら丸に乗船
チケットを引き換えた後、乗船時間になると、いよいよおがさわら丸に乗船します。
乗船は船の左舷側から行います。
タラップの前にはこんなものが。靴の裏やスーツケースの底を洗浄し、小笠原諸島へ外来種を持ち込まないための措置です。
おがさわら丸の船内の紹介
おがさわら丸に乗り込みましたので、内部をご紹介!
内部の地図はこんな感じ。2Fから8Fまでスペースがあり、割と大きな船であることがわかりますね。船内は全席指定なので自分の部屋があるフロアを探しましょう。大きな荷物でフロアの移動が心配な方もいるかと思いますが、エレベーターが完備されているので安心です。
フロアはこんな感じ。割と新しい船だけあって、とてもきれいですね。
二等和室
こちらが一番安い客室、『二等和室』です。頭だけ区切らてれいますが、一つの大きな部屋に雑魚寝するイメージです。グループでワイワイ旅行すると楽しそうな部屋です。
二等寝台
こちらが『二等寝台』です。二段ベッド的なイメージでしょうか。カーテンで区切れば完全な個室になるので、プライバシーが保たれます。
内部はこんな感じ。枕とシーツ類、掛け布団が用意され、床にはマットが敷かれています。
特二等
『特二等』はこんな感じ。二等寝台に似た作りですが、二段ベッドではありません。
内部はこんな感じ。二等寝台に比べて敷布団、掛布団がグレードアップしています。また、室内にテレビがついています。テレビは、基本的にBSしか映りませんが、船内で放送している映画も見ることができます。
特二等は、スリッパやイヤホン等のアメニティも置いてあります。
その他船内設備
船内には客室以外にも様々な施設があります。
こちらは売店の『ショップドルフィン』。日用品からおがさわら丸限定グッズまで、様々なものを売っています。店頭には小笠原名物の『ギョサン』が売られていますね。
こちらは、『レストラン父島』。残念ながら写真を撮ったときには開いていませんでした。食事時間に開いた時には、外を見ながら食事するのも良いでしょう。
こちらが『ラウンジ母島』。大人数から少人数までどなたでも楽しめます。お酒を持ち込んでワイワイやるもよし、窓から外を眺めながらのんびりするもよし。僕の過ごし方は、窓際の席でアップルパイを食べながらチューハイを飲む。そんな感じです(笑)
この写真は『ミニサロン南島』です。窓はありませんが、立ち飲みや談笑ができるところです。大きなテレビもついています。ここはあまり人が来ない穴場です。
自販機コーナーもあります。ジュースだけでなく、カップ麺やホットスナック、お酒、おつまみを売っています。
なお、船内にお風呂はなく、シャワーのみになりますのでご注意ください。お風呂があれば最高なんですが・・・
また、船内にはそこらじゅうにビニール袋が吊り下げられています。これはおそらく、ゲ○袋でしょうね。船は揺れるので乗り物に酔いやすい人は注意が必要です。
おがさわら丸、いざ航海へ!
乗船後、しばらく船の中を探検したらデッキに出てみましょう。出航の際は、だいたいどんな時でも見送りの人がいてくれるものです。
いよいよ出航!
午前11時。いよいよ出航です。
海を進んでいるからか、普段見慣れているはずの東京の街が、いつもと違って見えます。
出航10分くらいでレインボーブリッジの下をくぐります。レインボーブリッジが近い!!
海に目を向けてみると、
東京湾ってこんな色なんだ・・・
っていう色をした海が広がっています。なんだか茶色・・・というか。写真ではわかりにくいですがお世辞にもきれいとは言えませんね。
そして翌朝
その後、船内で寝ては起き寝ては起きを繰り返し、およそ23時間。もうすぐで父島到着という船内放送が流れたので外へ。
驚くほど青い海がそこに広がっていました。これがボニンブルー!本当に海の色には驚きます。海を眺めているとカツオドリやトビウオが見えます。
いよいよ到着
しばらくすると父島が見えてきました。
長かった・・・
そして父島に到着!
タラップを降りると、宿のお迎えの方が立て看板を持って待ってくれていますので、予約した宿を見つけてそこに向かうようにしましょう!
母島への行き方
また、母島へ向かう人は乗り継ぎが必要です。
※写真は母島にて撮影
母島行きの『ははじま丸』の船客待合所へ行き、チケットを買いましょう。
ははじま丸はおがさわら丸に比べると小さい船です。
ははじま丸に乗って約2時間で母島に到着します。
おがさわら丸に酔い止めは必要?
おがさわら丸は比較的大きな船ですが、海が比較的良くても揺れるときは揺れます(特に八丈島付近の黒潮通過時など)。
一度乗ってしまうと24時間は降りることができないので、酔い止めは必ず持っていきましょう!
おすすめは『アネロン』。これが一番効きます(個人の意見ですが)。無ければ『トラベルミン』もいいですね。これらは薬局に売っています。
とりあえず酔い止めはあったほうが良いと思います(特に冬や台風の時期は揺れます)。あと、船内はやたらと乾燥するので、のどが弱い人はマスクを持っていった方が良いかもしれません。
まとめ
以上が小笠原諸島への行き方です。
6日に1便しか船が出ていないため最低でも6日の休みが必要で、なかなか訪れることのできない場所ですが、機会があればぜひ皆さんにも訪れていただきたい場所です。
もし、長期の休みが取れたら、日本で一番時間のかかる場所、小笠原諸島へ行ってみてはいかがでしょうか。
観光スポットを探す
小笠原はレジャーの種類があまり多くなく、観光スポットのイメージがしにくいかもしれません。また、旅の多くを船で過ごすため島内にいると意外と時間が無いので、事前に行きたい場所をガイドブック等で決めておくのもいいと思います。