ここが残念!Mavic Airの意外な弱点とは

DJIから発売されているMavic Airは、小型で持ち運びやすく、旅のお供にはバッチリのとても良いドローンです。

カメラも1200万画素で、衝突回避機能もついていることから、機能面も安全性も高く、初心者の方でも満足のいくフライトができる機体です。なんと言っても、400グラム台の軽い機体。折り畳むとペットボトル大になり、本当にいつでも持ち運びたいものです。

これまで、僕は、Phantom3 Standardや、Phantom3 Advanced、Phantom4、Phantom4 Pro、Mavic2 Pro等を飛行させてきましたが、それらにも引けを取らない特徴のある良い機体です。

ただ、今回飛行させてみてわかったMavic Airの少し残念なポイントについて紹介していきます。

僕のドローンの飛行方法

まず、僕のドローンの飛行方法についてですが、主に写真の撮影をしています。

写真といっても、ただ撮るだけでなく、ある程度の範囲を全体的に飛行させ、その間にインターバルで真下の写真を沢山撮っておき、最終的にそれらをつなぎ合わせてオルソ画像にするといった感じです。

オルソ画像とは

オルソ画像と言われても、ピンと来ない人も多いかと思いますので、以下に説明を載せておきます。

航空カメラで撮影された空中写真は、レンズの中心に光束が集まる中心投影なので、レンズの中心から対象物までの距離の違いにより、写真上の像に位置ズレが生じます。写真に写る対象物が地面から高いほど、また写真の中心から周縁部に向かうほど、この位置ズレは大きくなります。上空から撮影した空中写真では、土地の起伏(高低差)による位置ズレが生じるとともに、高層ビルなどの高い建物や周縁部のとがった山の像は、写真の中心から外側へ傾いているように写ります。
オルソ画像は、写真上の像の位置ズレをなくし空中写真を地図と同じく、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像に変換(以下、「正射変換」という)したものです。
オルソ画像は、写された像の形状が正しく、位置も正しく配置されているため、地理情報システム(GIS)などにおいて、画像上で位置、面積及び距離などを正確に計測することが可能で、地図データなどと重ね合わせて利用することができる地理空間情報です。

国土地理院HPより

要するに、上空から真下の画像を撮ったとしても、写真の端の方は真上からのアングルにならないので、写真をいくつかつなぎ合わせることで、一つのエリアをすべて真上から撮った画角の写真にしたものをオルソ画像と言うんです。

オルソ画像を作成するに当たっては、専用のソフトを用いて作成するのですが、DJIのドローンのすごいところは、撮影した写真にXYZの座標(機体の位置)ω, φ, κの回転軸(カメラの向き)のデータが入っており、写真をソフトに取り込むだけで自動的に写真を配置してくれるんです。これがあるおかげで、手でちまちま合わせたりせずとも、ある程度のオルソ画像が簡単に作れるのですが…

先日、Mavic Airを飛行させ撮影した画像をソフトに取り込んでオルソ化しようとしたら、なぜか自動でいい具合に配置されませんでした。

あれ?

と、思って何度も試しますが、全くうまく行かず…

なんか変だと思ったので原因を探してみることにしました。

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Mavic Airの画像がオルソ化ソフトで自動配置できない理由とは!?

と、大げさな題名をつけてしましましたが、撮影した画像のプロパティを見てみたら、すぐに答えが分かりました。

以下は僕が飛ばしたことのあるドローンの撮影画像のプロパティ画面です(度・分・秒で記載されており、度・分は黒塗りしています)。度・分・秒のケタ数に注目していきましょう。

Phantom3 Standard

Phantom3 Standardで撮影した画像を見てみると、座標の秒の精度は

  • 緯度は小数点15ケタ
  • 経度は小数点15ケタ

Phantom3 Advanced

Phantom3 Advancedで撮影した画像を見てみると、座標の秒の精度は

  • 緯度は小数点16ケタ
  • 経度は小数点15ケタ

Phantom4 Pro

Phantom4 Proで撮影した画像を見てみると、座標の秒の精度は

  • 緯度は小数点13ケタ
  • 経度は小数点15ケタ

Mavic Air

Mavic Airで撮影した画像を見てみると、座標の秒の精度は

  • 緯度は小数点なし
  • 経度は小数点なし

Mavic2 Pro

Mavic2 Proで撮影した画像を見てみると、座標の秒の精度は

  • 緯度は小数点15ケタ
  • 経度は小数点14ケタ

結論

こうしてみると、他の機種が小数点13~16ケタがあるのにも関わらず、Mavic Airの画像は小数点の精度すらありませんでした

一見、度・分・秒のうち、秒まで記載されていると非常に高い精度のように思えますが、日本の場合だと、緯度が1秒=約31m経度が1秒=約25mということを考えたら、オルソ化のための写真の自動配置は厳しそうですね。

ちなみに、小数点15ケタというと、緯度で0.00000000031㎜の精度ということになるので、半端ない違いです(実際にはGPSの誤差等の影響の方が大きいと思いますが)。この精度なら写真の自動配置が可能なのもうなずけます。

ちなみに、DJIにMavic AirのGPSの精度について尋ねてみたところ、やはり他の機種に比べて精度はやや落ちるものを搭載しているのだそう。

まとめ

今回の検証で、Mavic Airの意外な弱点が発覚してしまいました。もし、ドローンで撮影した画像でオルソ化することを考えているならばMavic Air以外のDJI製のドローンを購入するのが良いでしょう。

ただし、多くの人はオルソ化なんてしないと思います。Mavic Airは他の機種と比べても小型でかつ安定性もあるので、オルソ化を考えていない方がドローンを購入する場合は、全く問題無い機種であると思います。むしろ、小型なので”持ち運び”ということを考えると購入候補になりうると思います。

ドローンは、価格や性能等、現在様々な機種が発売されていますが、用途に応じて購入機体を考えていくのが良いでしょう。

おすすめのドローン

Mavic Air

折りたたみができる機体は、非常にコンパクトでDJI製品の中でも最小クラスです。コンパクトにも関わらず飛行は安定しており、気軽にどこへでも持っていきたい機体です。写真の画素数は1,200万画素です。

Mavic2 Pro

ハッセルブラッド社製のカメラを搭載したドローンです。写真は2,000万画素の高画質で、全方位へ障害物センサーが付いているため、安全性も折り紙つきです。機体は折りたためるため、コンパクトに持ち運ぶことができます。

Mavic2 Zoom

この機体はこれまでなかった、ズーム機能が搭載されているのが特長です。ズーム機能を使えば、撮影の幅が広がること間違いなしです。主に動画で力を発揮してくれそうですね。なお、Mavic2 Proとは、カメラが異なるだけで機体は同じなので飛行の安定性は素晴らしいものです。

Phantom4 Pro+

DJIといえばこのような形のドローンを思いつく人も多いのではないかと思います。2,000万画素の高画質なカメラに加え、Phantom4 Proから進化した飛行性能は折り紙つきです。また、最初からプロポに画面が付いているので、新たにデバイスを用意しなくてもよいところが良いところですね。

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