以前、転職に失敗し、職と家を失っていた時期に、思うことがありました。
「僕はなんの取り柄があるのか」
と。事実、大学を卒業したばかりで離職したため経験も資格もなく、ほぼ新人の状態だった僕は中途採用の面接でアピールすることもなく、とても苦労した覚えがあります。
そんな中、”資格を取る感覚”と”勉強するクセ”、”スキルの向上”を目指して資格の取得を目指すことにしました。とりあえず書店で資格一覧を見て「取れそうだな」と思い、受験したのが『潜水士』でした。
今回は、そんな潜水士の資格について紹介していきます。
潜水士とは?
『潜水士』と言えば、映画の”海猿”を思い浮かべがちですが、それ以外にも活躍の場があります。以下が潜水士の概要です。
潜水士とは、潜水器を用い、かつ、空気圧縮機、手押しポンプによる送気やボンベからの給気を受けて行う潜水の業務に就く際に、必要な資格です。
潜水業務は、高気圧障害その他の危険が大きいことから、潜水士免許を持って従事しなくてはいけません。
つまり、水に潜って仕事をする場合は潜水士の免許が必要ということです。水に潜る仕事と言えば、海上保安庁の潜水士以外にも、水中での土木作業やサルベージ作業、水産物採取、海洋調査、ダイビングのインストラクターなどがあります。
なお、潜水士は国家資格です。
潜水士の取り方
ここからは、潜水士の取り方について説明していきます。
受験資格について
潜水士の受験資格は特にありません。ただし、合格後の免許交付対象では18歳以上が要件とされているので、そこだけは注意が必要です。
試験について
まず、多くの人が誤解しやすいのは、潜水士の試験には実技はないということ。これは、免許の目的が潜水作業における高気圧障害の危険性などに関する知識の習熟に主眼が置かれているためです。僕も、ダイビングも潜水も経験は無かったので、もし試験に実技があったならば試験を受けようとは思わなかったと思います。
試験の問題は五者択一、科目は以下の通りです。
試験科目 |
出題数(配点) |
試験時間 |
|
潜水業務 | 10問(30点) | 10:00~12:00 | 午前・午後
計4時間 |
送気、潜降及び浮上 | 10問(25点) | ||
高気圧障害 | 10問(25点) | 13:30~15:30 | |
関係法令 | 10問(20点) |
1科目あたりの問題数は10問。問題ごとの配点は非公表になっています。合格基準は各科目の得点が4割以上かつ、全科目の合計点が6割以上。
試験は、午前の2時間「潜水士試験A」で”潜水業務”と”送気、潜降及び浮上”が、午後の2時間「潜水士試験B」で”高気圧障害”と”関係法令”がそれぞれ2科目ずつまとめて実施されます。
試験は、地方によって異なりますが、年間複数回開催されています。たとえば関東であれば6回ありますので、比較的受験しやすい資格です。試験日程の確認はこちらから。
合格率はどのくらい?
平成29年度の潜水士の合格率は以下の通りです。
年度 | 受験者数 |
合格者数 |
合格率(%) |
H28 | 7,203 | 5,707 | 79.2 |
H29 | 6,891 | 5,708 | 82.8 |
見てお分かりの通り、合格率は例年80%前後を推移している感じの印象です。合格率からも比較的取得が易しい資格であることがうかがえます。
受験費用は?
潜水士の受験料は7,000円です。
また、試験に合格した場合は、別途で免許申請料がかかります。免許申請料は収入印紙1500円分、電子申請(e-Gov電子申請システム)は1450円です。
勉強方法は?
潜水士の勉強方法は、過去問や問題集を解いていけば良いと思います。内容も簡単なものが多いので、問題を解いて、後から解説を見れば十分に理解は進みます。
問題集も、特に複数冊買う必要はないと思います。
勉強時間は割と短めで良いと思います。潜水やマリンアクティビティーに関して全くと言っていいほど知識がなかった僕ですが、一晩(約8時間)死ぬ気で勉強して受験に挑み、合格することができました。ただし、この程度の勉強時間だと、理解しきれていない部分もあり、試験で不安になるような問題がありましたので、より万全な状態で試験に挑むということであれば、もう少し勉強時間を確保したほうがいいと思います。
試験合格までのおおよその勉強時間は、1日3時間を5日間、計15時間といったところでしょうか。
試験の難易度について
潜水士試験の難易度ですが、比較的取得しやすい簡単な資格であると言えるでしょう。一見すると海や水中の知識が無いと難しそうに思えますが、基礎的な知識が問われるだけなので心配には及びません。また、試験問題は物理問題が多く出題されますが、物理に対してよほど強烈にアレルギーが無い限りは全く心配ないでしょう。
・難易度(0~10段階で10が高い):2
まとめ
潜水士は国家資格でありながら、非常に取得しやすい資格であると言えます。世の中に潜水が必要な仕事というのはあまり多くはないため、活用する場は少ないかもしれません。
しかし、この資格を取得することで自分の視野も含めて、できる仕事の幅が広がることは間違いありません。資格を取ることによって自分の進む道を考えてみるのもいいかもしれませんね。また、仕事ではありませんが、僕も潜水士資格取得をきっかけにダイビングに行きました。
資格の勉強をすることで、勉強をするクセがつけられるのはとてもいいことです。皆さんもこれをきっかけにして、自分の目標となる資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。