つい先日、4年に一度のW杯が終わりました。今回はフランスが20年ぶり2回目の優勝を飾りました。クロアチアのまさかの快進撃や、前回王者ドイツのまさかのグループリーグ敗退等、様々なことがありました。日本も2大会ぶりにベスト16へ駒を進め、下馬評に反して素晴らしい戦いを見せてくれました。
そんな中、早くも気になるのが次回のW杯。カタールで行われるW杯は、気温等様々な問題がすでに出てきておりますが、そんな中ひときわ気になるのが、各大陸ごとの出場枠です。現在32ヵ国が出場できるW杯ですが、早ければ2022年のカタールW杯から48ヵ国に枠が拡大される可能性があるんです。
大陸ごとの出場枠は?
大陸ごとの出場枠ですが、FIFAからは以下のような案が出ているようです。
大陸 | 枠 | 現行枠 | 差 | 増加割合 |
アジア | 8 | 4.5 | +3.5 | 178% |
アフリカ | 9 | 5 | +4 | 180% |
ヨーロッパ | 16 | 13 | +3 | 123% |
南米 | 6 | 4.5 | +1.5 | 133% |
北中米 | 6 | 3.5 | +2.5 | 171% |
オセアニア | 1 | 0.5 | +0.5 | 200% |
欧州を除く5大陸から各1チームと、開催国が属する大陸の1チームの計6チームで争われるプレーオフで決定 | 2 | ― | ― | ― |
増加割合で言うと、オセアニアをはじめ、アフリカ、アジア、北中米と、あまりFIFAランキングの高い国がない地域の出場枠が増えている印象です。また、これまでとプレーオフの方式が異なるというのも印象的ですね。
出場国を想定してみる
枠が拡大されたことで、気になるのは、
どの国がW杯に新たに出ることができるようになるのか?
ということでしょう。はい、と、言うわけで、出場国を想定してみました。
とは言ったものの、4年後の各国の状況など、今からは全く想像もできないので、とりあえず2018年6月に発表されたFIFAランキングが高い順に考えてみることにしました。
その条件で、晴れてW杯出場となった国は以下の通りです。赤字はロシアW杯不出場国。
地域 | 国名 | ランキング |
アジア
枠8+開催国 |
カタール(開催国) | 98 |
オーストラリア | 36 | |
イラン | 37 | |
韓国 | 57 | |
日本 | 61 | |
サウジアラビア | 67 | |
シリア | 73 | |
中国 | 75 | |
アラブ首長国連邦 | 77 | |
アフリカ
枠9 |
チュニジア | 21 |
セネガル | 27 | |
コンゴ民主共和国 | 38 | |
モロッコ | 41 | |
エジプト | 45 | |
ガーナ | 47 | |
ナイジェリア | 48 | |
カメルーン | 49 | |
オセアニア
枠1 |
ニュージーランド | 120 |
南米
枠6 |
ブラジル | 2 |
アルゼンチン | 5 | |
チリ | 9 | |
ペルー | 11 | |
ウルグアイ | 14 | |
コロンビア | 16 | |
北中米
枠6 |
メキシコ | 15 |
コスタリカ | 23 | |
アメリカ合衆国 | 25 | |
ジャマイカ | 54 | |
パナマ | 55 | |
ホンジュラス | 62 | |
ヨーロッパ
枠16 |
ドイツ | 1 |
ベルギー | 3 | |
ポルトガル | 4 | |
スイス | 6 | |
フランス | 7 | |
ポーランド | 8 | |
スペイン | 10 | |
デンマーク | 12 | |
イングランド | 12 | |
オランダ | 17 | |
ウェールズ | 18 | |
イタリア | 19 | |
クロアチア | 20 | |
アイスランド | 22 | |
スウェーデン | 24 | |
オーストリア | 26 | |
プレーオフ
この中から2枠 |
パラグアイ | 32 |
ブルキナファソ | 52 | |
エルサルバドル | 72 | |
レバノン | 79 | |
オマーン | 84 | |
ソロモン諸島 | 143 |
ロシアW杯で出られなかった、イタリアやオランダ、アメリカ合衆国等、FIFAランキングの高い国はほとんど出られるといった具合です。1~27位まではすべての国が出場することができます(因みに28位はスロバキア)。また、ロシアW杯で多くの企業がスポンサーを務めた中国も出場することができ、これまで以上の経済効果が見込まれるでしょう。
逆に、ロシアW杯に出場したものの、次回のW杯に出られなくなったのは、34位のセルビアと70位のロシア(開催国枠)の2ヵ国です。
W杯のグループリーグの想定
枠が48ヵ国になった場合のグループリーグの組み分けは、3ヵ国ずつ、計16グループになるものと考えられます。グループリーグで3ヵ国が総当たり戦を行い、上位1~2チームが決勝トーナメントに出場できるようですね。
ロシアW杯ではグループリーグの組み分けの際、FIFAランキングの高い順からポット1~4まで各国が分類され、各ポットからそれぞれ1ヵ国が抽選により選ばれ、各グループに割りふられておりました。なお、開催国枠のロシアはポット1に入っていました。
その方式でポット分けをしてみましょう。
ポット | 国 |
1 | カタール(開催国),ドイツ,ブラジル,ベルギー,ポルトガル,アルゼンチン,スイス,フランス,ポーランド,チリ,スペイン,ペルー,デンマーク,イングランド,ウルグアイ,メキシコ |
2 | コロンビア,オランダ,ウェールズ,イタリア,クロアチア,チュニジア,アイスランド,コスタリカ,スウェーデン,アメリカ合衆国,オーストラリア,イラン,コンゴ民主共和国,モロッコ(プレーオフでパラグアイが出場の場合はポット3),パラグアイ(プレーオフで出場決定であれば) |
3 | エジプト,ガーナ,ナイジェリア,カメルーン,ジャマイカ,パナマ,韓国,日本,ホンジュラス,サウジアラビア,シリア,中国,アラブ首長国連邦,ニュージーランド,モロッコ(プレーオフでパラグアイが不出場の場合はポット2),プレーオフ1~2ヵ国(ブルキナファソ,エルサルバドル,レバノン,オマーン,ソロモン諸島) |
さて、これを基に、日本がどの国と当たるかを想定してみます。その前に、グループリーグの抽選に当たって条件がいくつかあるので整理しておきます。
ロシアW杯のグループリーグ抽選における原則は以下の通り。
- 開催国はグループAのA1に割り振られる。
- ヨーロッパのチームについてはグループ2ヵ国までとし、それ以外の大陸は同じ大陸のチームが同じグループに入らないようにする。
- ポット1のチームは各グループの番号1の位置に組み込まれることとし、ポット2~4のチームについてはどの位置に組み込まれるかを抽選により決定する。
この条件の下、日本がと同じ組になる可能性がある国は・・・
ポット | 国 |
1 | ドイツ,ブラジル,ベルギー,ポルトガル,アルゼンチン,スイス,フランス,ポーランド,チリ,スペイン,ペルー,デンマーク,イングランド,ウルグアイ,メキシコ |
2 | コロンビア,オランダ,ウェールズ,イタリア,クロアチア,チュニジア,アイスランド,コスタリカ,スウェーデン,アメリカ合衆国,コンゴ民主共和国,モロッコ(プレーオフでパラグアイが出場の場合はポット3),パラグアイ(プレーオフで出場決定であれば) |
うーーーーーーむ、結構厳しいですね(笑)
ドイツ-オランダやブラジル-イタリアという風な組み合わせになる可能性もあるんですね。間違いなく”死のグループ”と言われるでしょうね。これは。もしも、こんなグループになったら、グループ2位まで決勝トーナメントに出場が可能であったとしても、絶望感しかありません。ただ、逆にペルー-コンゴ民主共和国のように、ロシアW杯でグループリーグ敗退だった国、不出場の国々と同じ組ということも考えられるということです。
このように、W杯の出場枠が拡大することによって、グループリーグ同士のレベルの格差も生じる恐れがあるということですね。
まとめ
こんな感じで、早くも皮算用をしてみましたたが、いかがだったでしょうか。
開催国枠が増えることによって、大会全体のレベルが低下するという意見もありますが、個人的にはやってみないとよくわからない感じもしています。ただ、今考えてみただけでもグループリーグの格差が生じる恐れがあることはわかったので、大会の運営に当たってはこれらの格差をいかに生じさせないかが重要になるかもしれません。
また、現在に日本のFIFAランキングから考えるとポット3に分類されてしまいましたが、今後は、いかにランキングを上げていくか、ということも気にしていく必要があると思います。ちなみに、ポット2の中で一番ランキングが低かった国はモロッコの41位、仮に32位のパラグアイがプレーオフを勝ち抜いてポット2に入ることを考えると、最低でもコンゴ民主共和国の38位を超える程度にまで上げておくことが望ましいでしょう。今後、日本はアジアカップや南米選手権等、ランキングを上げるためのポイントを比較的稼ぎやすい大会に参加することが決まっているので、そこまで難しい状況ではないと思っています。
また、今回のW杯以降、FIFAランキングの計算方法も変わるようですので、それにも期待しましょう。
いずれにせよ、次回のW杯では日本代表には是非ともベスト16の壁を破ってほしいものです!