東京からおよそ1,000km。
小笠原諸島は、大陸と一度もつながったことが無い“海洋島”です。
そこには偶然島にたどり着いた生物たちが独自の生態系を作り出しています。
世界中でそこにしかいない生物も多く、思わずその珍しい生き物たちに会いたいと思ってしまうことでしょう。
しかし、小笠原諸島の森林の大半は『森林生態系保護地域』に指定されているため、一般人は立ち入ることができません。
森林内を通っている観光用の“指定ルート”と呼ばれる道もありますが、こちらはガイドさんと一緒でなければ行ってはいけないルートです。
しかし、そんな中でもいくつか、一般人でも歩くことのできるルートがあるので、紹介していきます。
目次
小笠原諸島の有人島最高峰!母島乳房山ルート
今回紹介するのは、母島の乳房山ルート。
この道は、母島最高峰の『乳房山』を目指すルートです。
乳房山は小笠原群島の中で最高峰の山です。標高は462.3mと言えど、しっかりと”山”です。
標高が400m以上あることで山頂付近に雲霧(雲)がかかりやすく、小笠原諸島の中でも珍しい”湿気”を好む生き物たちを見ることができます。
ルートの距離と所要時間は?
ルートの距離は、全長6kmくらい。
往復するとなると所要時間は4~5時間くらいでしょうか。
集落から歩いていけるルートなのでおすすめのルートではありますが、アップダウンが多く体力が必要なので注意が必要です。
乳房山ルートを歩くときの持ち物と服装
標高は低いように思えますが、それでもしっかりとした”山”です。
高さにして400m以上分、ほぼ登りが続きのあと、下りの道も段差があったりと、意外と膝や太ももに負担がかかります。
天候やタイミングによってはぬかるみや木道など滑りやすい個所もあるので、登山靴や滑りにくい靴が必要です。
服装については、半袖半ズボンでもいけなくはないですが、天候が変わりやすいため雨具は必須です。できれば手足のふさがらないレインウェアを用意しておきましょう。
持ち物で一番重要なのは、やはり『水』。特に夏場は湿度が高く非常に暑いので、最低1.5L。できればそれ以上の水が必要です。
その他、おやつや虫除け、カメラや双眼鏡もあればいいと思います。
乳房山ルートを歩く
ルートに行く前にまずは観光協会へ!
ルートを歩く前に、観光協会へ行っておきましょう。
ここで300円を払うと乳房山登頂の証明をするためのグッズを借りることができ、戻ってきたときにそれを提出すると『登頂証明書』と交換してもらえます。
母島観光協会は、ははじま丸の船客待合所の中にあります。
貸し出された登頂証明をもらうためのセットはこちら。
- 乳房山のパンフレット
- 乳房山ルートマップ
- 白い紙
- クレヨン
です。最終的に返却が必要なのはクレヨンです。
ルートの入口は集落の奥
乳房山ルートは、集落の奥(小学校付近)が入口になっています。
ルートの近くになると、入口を示す看板がいくつか見えてきます。
ルートは乳房山まで流域をぐるっと回る形で一周しているので、時計回りでも反時計回りでも行くことができますが、反時計回りのコースはアップダウンや段差がきついのでおすすめは時計回りのコースです。
※2019年7月現在、斜面の崩落の影響により一部で通行止めとなっております。
時計回りコースの入口はこんな感じ。
種子除去装置があるので、そこでしっかりと外来種対策をしてから進みましょう。
ルートの様子
ルートの幅はそこまで広くはありません。
入口すぐではチトセランが左右からせり出していてどこか鬱蒼とした雰囲気を醸し出しています。
ルートはひたすら登り。途中に東屋があるのでちょくちょく休みを入れながら登ることをおすすめします。
しばらくするとこんな看板が。地面に大きな穴が開いています。
こちらはどうやら、爆撃したというよりは、爆撃後に不要になった爆弾を捨てたときにできた穴なんだそう。
写真だとなかなか伝わりにくいですが、ここまで大きな穴が一瞬でできるような破壊力というのは、なかなかイメージができないですが少し怖さを感じます。
道中にはこんな風景も。ガジュマルの大きな木がジャングル感を醸し出しています。
ガジュマルにはこんな看板が付いていました。
足元をよく見ると看板の通りムニンシュスランがありました。踏んでしまわないように注意しましょう。
乳房山の頂上に到着
そうこうしていると、乳房山の頂上に到着です。頂上は意外とこぢんまりとした感じです。
西側を見てみると集落を見下ろすことができます。思っていたよりも歩いた距離が長いことにも驚きます。
頂上にはデッキがあり、東側の様子も見ることができます。
東側の様子はこんな感じ。
ただし、乳房山の頂上には雲がかかりやすいため、いい眺めを見られるかどうかは運次第です。
登頂証明をもらうために、クレヨンのこすり出しは忘れずに。
『乳房山』と書いてある看板の下にこすり出しをするための型があります。
いざ下山!
さて、やることもやったので下山しましょう。
登りの時には、登るのに必死で余裕はありませんでしたが、下りになると余裕ができまわりの植物に目を向けることができます。
こちらはハハジマノボタン。世界中でここだけにしかない植物です。
少し散り気味ですが、それでもなかなかかわいい感じです。
こちらはシマザクラ。”サクラ”と名がついていますが桜の仲間ではありません。こちらも小笠原諸島の固有種です。
下っていくと、剣崎山の展望台があります。眺めはこんな感じ。集落が一望できます。
乳房山の登頂証明をもらおう
集落に戻ったら、先ほどクレヨンでこすった紙を観光協会に持っていきます。
無事に登頂証明がもらえました。なお、登頂証明はこのようにラミネートされたものと、ハガキのものが選べるようですよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
小笠原諸島では、一般の人が気軽に行ける場所は少ないですが、行ってみると新しい発見や楽しみがあります。
小笠原の母島に行った際は、是非とも乳房山登頂にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。