つい先日、測量士の試験に合格しました。
僕はこれまで、測量の実務はやったことのないド素人なんですが、運も相まって合格することができました。
今回は、そんな測量ド素人の僕が測量士試験を受けて思ったことや、実際にやったことを書いてこうと思います。
目次
測量士試験とは
ここではまず、測量士試験について書いていきたいと思います。
測量士試験はどんな人が受けるのか?
『測量士試験』
当たり前ですが、この試験を受ける人は測量士になりたい人です。
と、当たり前のことを書いた理由ですが、測量士の下位資格に『測量士補』という資格があり、測量士と測量士補では受験の意味合いが大きく異なるからです。
では測量士補はどのような人が受けるのかというと、『土地家屋調査士』という資格を目指す人が多いのではないでしょうか。
土地家屋調査士は不動産に関する難関資格のひとつですが、測量士補に合格することで午前試験を免除することができます。
土地家屋調査士の試験は難しく、少しでも試験の負担を減らすために測量士補を取得する人が大半なようです。なお、測量士も免除の対象となっていますが、測量士補に比べて試験の難易度が高く、わざわざ測量士を目指す人は少ない印象です。
実施年度 | 測量士試験 | 測量士補試験 | ||||
受験者 | 合格者 | 合格率 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | |
R4年度 | 3,194 | 460 | 14.4% | 12,556 | 5,540 | 44.1% |
R3年度 | 2,773 | 498 | 18.0% | 12,905 | 4,490 | 34.8% |
R2年度 | 2,276 | 176 | 7.7% | 10,361 | 3,138 | 30.3% |
R元年度 | 3,232 | 479 | 14.8% | 13,764 | 4,924 | 35.8% |
H30年度 | 3,345 | 278 | 8.3% | 13,569 | 4,555 | 33.6% |
試験の受験者数を見ると、測量士に比べて測量士補のほうが人数が多いことが分かります。合格率も測量士補のほうが高いので、土地家屋調査士を目指すのであれば測量士補からのルートが無難そうです。
測量士試験の難易度は?
年によって合格率は変わりますが、測量士試験は例年10%前後であると言われており、合格率から見てもやや難しめな資格であると言えます。
試験は計算問題が多く出題され、記述式の部分もあるため十分な理解が必要です。
しっかりと対策をすれば合格できる試験ではありますが、試験の情報量が少なく、また実務をやったことのない人からすれば、まったくイメージがつかない内容ですので、心理的な難易度は飛躍的に高まります。
測量を知っているかどうか、測量に触れているかどうか。その差はかなり大きいように思います。
測量士試験に向けて
ここでは、僕が測量士試験を受けるまでにやったことと感じたことを書いていきます。
測量士試験に向けた勉強
僕が測量士試験の問題を見て、まず感じたことは『絶望』でした。
一応測量士補の資格は持っていたものの、初見だと本当に一問も解けませんでした。
なので、とりあえず測量士補の勉強から始め、測量士補の内容がマスターできたと思ったら測量士の過去問に着手しました。
基本的に情報量は少ないのですが、探せばYoutubeやネットに過去問解説をしているページがあったりして、それを参考にしました。
測量士&測量士補試験対策WEBは解説も公開されていて参考になりました。過去問は国土地理院のHPからダウンロードできます。
測量士補のときは、とにもかくにも過去問を解きまくっていましたが、測量士だとなかなかそうもいかないので、まずは『科目』を意識することに。試験の科目は以下の内容です。
- 測量に関する法規及びこれに関連する国際条約
- 多角測量
- 汎地球測位システム測量
- 水準測量
- 地形測量
- 写真測量
- 地図編集
- 応用測量
- 地理情報システム
思ったより多いかもしれません。
午前試験に向けて
午前試験は択一問題(5択)になっています。択一問題とは言え、計算も多く、感覚や勘では解けない問題ばかりです。
そして、科目は全ての科目が範囲になっているので『基本的に捨て問は作らない』が原則です。
ただし、僕の場合は勉強を始めたのが試験の約2カ月前と遅く、5年分の過去問を調べて、明らかに自分が解けない分野や計算がめんどくさい分野、出題頻度が低い分野(多角測量と応用測量)は切ることにしました。
僕が受けたときの試験は幸いにも捨て問から出題は1問のみで、運にも恵まれたように思います。
測量士試験では”午前試験でどれだけ点数を稼ぐか”が勝負になります。できれば8割以上取っておくくらいの余裕が欲しいところです。試験の問題数は28問なので、8割以上を目指すのであれば23問以上が目安です。
僕の場合は、ギリギリ23問正解することができました。
午後試験に向けて
午後試験は記述式の試験です。
必須問題に加えて選択問題(4科目から2つを選択)があります。
配点は必須問題(300点)+選択問題(200点)×2の計700点です。
選択問題の科目は以下の通り。
- 基準点測量
- 地形・写真測量
- 地図測量
- 応用測量
僕の場合は『2.地形・写真測量』と『3.地図測量』を選択しました。
その理由ですが、『4.応用測量』は午前試験の時点で捨てていたので機械的に消し、あとは僕は極端に数学が苦手なので計算の割合が少なく、記憶力重視で挑める科目を選んだわけです。
とはいえ、やはり計算問題は出題されるため、まったく計算がないわけではないのは注意が必要です。
僕が今回、試験を受けてみてまさか合格しているとは思っていなかったのですが、「完全にやらかした」と思わされたのがこの午後試験でした。
試験問題は解けるものの、考える時間が多いこともあってか時間が全く足らず、『3.地図測量』の部分は半分までしか解くことができませんでした。制限時間以内に説く練習をするなど、時間との戦いを想定して勉強をすすめていくのが良いと思います。
独学で合格できるのか?
実際に勉強してきてきて思ったことですが、測量士試験の情報量は他試験に比べて圧倒的に少なく、ド素人が独学で測量士試験に合格するのは非常に困難だと思います。
独学だと相当な運と勉強時間が必要です。また、先も見えないなかで闇雲に勉強し続けるというのは本当に不安になります。
効率的に勉強し、短期間で試験合格を目指すのであれば通信講座を受講するのもアリかなと思います。というか、独学だとあまりにも時間がかかるので”時短”という観点では通信講座のメリットはかなり大きいように感じます。
数が少ないながらも、測量士試験の通信講座がいくつかあるので紹介していきます。
アガルートアカデミーの通信講座
最近CMでも見るようになったアガルートアカデミーですが、測量士試験に向けた通信講座も開講しています。
こちらの講座は受講生の合格率がなんと約50%(令和3年度試験)とのこと。全国平均よりもはるかに高い合格率です。
この講座のメリットは以下の通り。
- 要点がまとめられたテキストを使って勉強できる
- 初心者でもわかりやすい解説
- 通信講座なのでスキマ時間で勉強できる
- 質問等のフォローが充実している
Youtubeにサンプル講義がアップされていますが、めちゃくちゃ分かりやすく解説されています。講義を担当されている中山講師は聞き取りやすくメリハリの効いたしゃべり方なので評判も良いと聞いています。
講義だけでなく、過去問の解説動画もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
デメリットで言うと、テキストをWeb上で見ることができないということでしょうか。基本的にテキストは紙媒体で送られてくるので勉強するときはテキストを持ちながらということになります。
金額は少し高めですが、測量未経験者でも測量士試験の合格に大きく近づくことができる講座であることは間違いないでしょう。
なお、各種割引制度や合格祝い金、全額返金制度など、勉強のモチベーションが上がる制度が充実しているのも良いところです。
日本測量協会の通信添削講座
日本測量協会では例年、通信添削講座を開講しているようです。
こちらは動画の講義は無いものの、Web上で模擬問題の問題を解き、その内容に応じて回答が添削されて返送されるようです。
この講座のメリットは以下の通り。
- 要点がまとめられたテキストを使って勉強できる
- 金額が安い(測量士59,000円)
- eラーニング(Web上の学習)に対応
- 自分の回答に対する添削と解説ができる
逆にデメリットで言えば、動画での解説が無いので、人によっては細かい部分の理解までに時間がかかる可能性があるということでしょうか。
とはいえ、測量に対してある一定量の知識がつけば、あとはひたすら過去問を解きまくることで対策は十分なので、すでに測量に対してある程度の知識がある人はこの講座がおすすめです。
まとめ
今回は測量士の試験についてまとめていきました。
測量士に関しては情報が少なく、測量をやったことのない人(僕もその一人)からすると、とっかかりの部分でかなり躓きやすい試験の内容になっていると思います。数は少ないですが、時間や勉強の効率を考えると、専門の講座を受講して受験に挑むのが合格までに一番の近道かなと思っています。
測量士は独占性の高い資格でもありますし、もっておくと転職や昇進に有利に働く資格でもあると思います。
ぜひ、試験を目指されている皆さんは合格目指して頑張ってください!
↓僕が測量士試験の合格通知をもらった時の反応