国家資格にはいくつかの種類がありますが、その中でも『測量士補』は人気の高い資格です。
“測量”と聞いて、なんとなくイメージは湧いてきますが、当初はなぜ人気の高い資格なのか、と疑問に思っていました。
調べてみると、測量士補は持っていることでメリットの多い資格であるということがわかりました。
今回はそんな測量士補について紹介していきます。
目次
測量士補とは?
『測量士』は、名前の通り、測量業者に従事する測量士が作製した計画に従って測量を行う、測量士の補佐を行う技術者に求められる国家資格です。
測量法48条3項では、測量士補は、測量士の作製した計画に従い測量に従事するとされています。
測量業界では測量士補のことを略して「士補(しほ)」と呼ぶ事があります。
測量士補取得のメリット
測量士補は比較的人気の高い資格です。測量士補を受験する人の中には、将来的な測量士試験へのステップアップを踏まえた“足がかかり”として受験する人も多いですが、そのほかのメリットを目的に受験する人も多いように思います。
測量士補取得の主なメリットは以下の2点だと考えています。
- 測量技術の見える化
- 土地家屋調査士の試験免除になる
測量というのは、人が境を作り生活していく限り必要になる技術です。
つまり、測量業界は今後も必ず必要な『安定した需要が見込める業界』であると言えます。特に測量については、測量士や測量士補の資格に対して独占的な業務になっているので、仕事と直結しやすい資格なのです。
ただ、測量士試験も受験資格は無いため、測量業界の人の中では直接測量士試験を受験するという人も多いです。
また、不動産業界の資格である土地家屋調査士は、比較的取得難易度の高い資格であると思いますが、測量士補の資格を持っていることで「測量・作図」の試験(午後)が免除になります。そのため土地家屋調査士を受験する人は、測量士補を取ってから受けるという人がほとんどです。
測量士補の取り方
ここからは、測量士補の取り方について説明していきます。
受験資格について
測量士補の受験資格は特にありません。年齢や経験を問わず、どんな人でも受験が可能な資格です。
試験について
測量士補の試験は年に一回のみ。だいたい毎年5月の中旬に実施されています。
試験時間は3時間ですが、1時間30分が経過するくらいで退出が可能になります。
試験はすべて筆記で試験問題は五者択一であるため、時間が足らなくなるということはないと思います。
なお、試験に電卓の持ち込みはできません。
試験科目について
試験の科目は以下の通りです。
試験科目 |
|
(1) | 測量に関する法規 |
(2) | 多角測量 |
(3) | 汎地球測位システム測量 |
(4) | 水準測量 |
(5) | 地形測量 |
(6) | 写真測量 |
(7) | 地図編集 |
(8) | 応用測量 |
※ 上記の各専門科目に関連して技術者として測量業務に従事する上で求められる一般知識(技術者倫理、測量の基準、基礎的数学、地理情報標準等)についても出題されます。
試験の合格基準点は?
合格基準点は以下の通りです。
出題数 | 配点 | 合格基準 |
28問
(1問当たり25点) |
700点 | 450点以上 |
出題数が700点満点中450点以上で合格ということなので、問題数にすると18問以上正解すれば合格できます。
ここで注意が必要なのは、これを得点率に直すと約64%であるということ。
一般的には60%以上が合格となる試験が多いですよね。僕も自己採点の時は60%(17問正解)だったので、「お~あぶねぇ~」とか言っていたのですが、後で合格に必要な得点に満たないということを知って、絶望の淵に落ちた覚えがあります。結局、合格はしていたのですが(おそらくギリギリ)。
合格率はどのくらい?
平成30年度の測量士補の合格率は以下の通りです。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率 |
13,569 | 4,555 | 33.6% |
およそ3分の1の人が合格していることを考えると、そこまで難しい資格ではないように思います。
受験にかかる費用は?
測量士補の受験料は2,850円です。
受験料が非常に安かったため、「お、いいじゃん、取ってみよう」と軽い気持ちで受験したのですが、合格した後の『測量士補登録申請』に15,000円分の収入印紙が必要なので、合格してから意外とお金がかかるということは念頭に置いておいた方がいいと思います。
勉強方法は?
測量士補の勉強方法ですが、まずは過去問や問題集を解いていきましょう。
測量士補の試験は様々な科目があるため、まずはひと通りの勉強をする(問題を解く)ことで自分の苦手な個所を見つけて、次に苦手なポイントを重点的に勉強するようにしましょう。
科目の中には三角関数など、高校で習ったような内容もありますので、場合によっては高校で使うようなテキストを見返すというのも手だと思います。
独学の場合、合格までに必要な勉強時間は50時間程度かなと思います。
勉強の効率化を目指すならば通信教育がおすすめ
また、測量士補の試験は、普段から測量分野に馴染みのない人が独学で勉強する場合、とっつき辛い内容であるように思います。
僕の場合、社会人になってからGPS機器を使うような仕事をしていたので、なんとなく内容がわかる部分もありましたが、これが何も知識が無い状態だったら、この試験を受けようとは思わなかったように思います。
そんなときは、通信教育を受講するのも一つの手かなとも思います。通信教育であれば要点をまとめて教えてくれますし、なにより初めてその分野に触れる人でも合格できるように解説されています。
◆測量士補講座のあるおすすめの通信教育はこちら!
東京法経学院
アガルートアカデミー
費用のことを考えると独学に比べてかかってしまいますが、僕も試験合格後に試しにやってみたら、独学の時とわかりやすさ(理解度)があまりにも違ったため驚きました。短期で効率よく勉強をしたい(時間をかけずに合格を目指す)のであれば、通信教育はおすすめです。
試験以外の取得方法
測量士補は、試験に合格する以外にも取得する方法があります。
その際の資格要件については以下のように定義されています。
- 大学であって文部科学大臣の認定を受けたものにおいて、測量に関する科目(土木工学科、土木科、農業土木学科、農業土木科、林学科、林科、採鉱学科、採鉱科、を卒業し、測量学、測量学実習)を修め、当該大学を卒業した者
- 短期大学又は高等専門学校であって文部科学大臣の認定を受けたものにおいて、測量に関する科目(天文学科、地球物理学科、物理学科、数学科、地理学科、地質学科)を修め、当該短期大学等を卒業した者
- 測量法第50条第3号の登録を受けた測量に関する専門の養成施設において一年以上測量士補となるのに必要な専門の知識及び技能を修得した者
基本的には『学校で測量に関連する科目を学んでいる』ということが必要になってきます。
もし、科目についての問い合わせがある場合は『国土地理院総務課試験登録係 029-864-4151』に確認するのが良いと思います。
なお、試験以外の方法で測量士補を取得する場合も申請書類の提出と申請料の15,000円分の収入印紙は必要になります。
試験の難易度について
測量士補試験の難易度ですが、どんな人でもきちんと対策をすれば合格ができる(難易度普通)資格であると言えるでしょう。一見すると測量の知識が無いと難しそうに思えますが、丁寧な勉強をすれば全く問題ないように思います。
・難易度(0~10段階で10が高い):5
まとめ
測量士補は取得することで比較的メリットの大きい資格であるように思います。
分野も広く、一見とっつき辛い試験にも見えますがきちんと勉強すれば合格の目指せる資格でもあります。
測量業界は専門性も高く、安定した需要の見込める業界でもありますので、是非この際に取得を目指してみてはいかがでしょうか。